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●Engineer's Studio(R) 解析支援サービス(池状構造物、配水池) |
3次元プレート動的非線形解析 |
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●水道施設耐震工法指針・解説2009年版の発刊
昨年,「水道施設耐震工法指針・解説2009年版」が社団法人日本水道協会より発刊されました。この中で,配水池に代表される池状構造物のレベル2地震時に対する設計では,材料非線形を考慮したプッシュオーバー解析の適用が挙げられています。
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▲図1 耐震計算法の体系 |
●Engineer's Studio(R)を用いた解析事例
配水池に対して,Engineer's Studio(R)を用いてプッシュオーバー解析を行った事例を簡単にご紹介します。設計条件の通り重要度はランクA2ですので,要求される耐震性能は耐震性能3となります。耐震性能3の限界状態は終局変位以下,せん断耐力以下となります。これはひび割れ幅が拡大し,漏水が生じるが施設全体が崩壊しないレベルといえます。
重要度 |
ランクA2 |
要求耐震性能 |
耐震性能3 |
地盤条件 |
I種地盤 |
材料 |
コンクリート |
σck = 24 N/mm2 |
鉄筋 |
SD345 |
照査項目 |
曲げ |
応答曲率≦終局曲率 |
せん断 |
応答せん断力≦せん断耐力 |
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▲表1 設計条件 |
下図は解析モデルです。ソリッド表示していますが,頂版・底版・側壁はファイバー要素,基礎地盤についてはバネ要素でモデル化しています。
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▲図2 骨組モデル |
実際の配水池は四方を壁で囲まれた池状の構造物ですが,解析モデルは二次元で考えています。
荷重は死荷重・静水圧・地震時慣性力・地震時動水圧を考慮しています。死荷重および静水圧を組み合わせて常時荷重とし,それを初期状態として地震時の荷重を漸増載荷します。荷重の増分はΔkh=0.001としています。
下図は弾性応答と等価なエネルギーになるまで載荷した後の変形とコンクリートの損傷を表した図です。隅各部で損傷が大きく,特に青色で着色されている中壁の基部で損傷が大きくなっています。緑色はコンクリートのひび割れを示しています。
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▲図3 変形図およびコンクリート損傷図 |
さらに荷重を増加させ,構造系として終局状態となるまで載荷します。そうすることで損傷の発生位置とその順番がわかり,損傷過程を明確にすることができます。図3で損傷発生位置とわかった中壁基部について曲げモーメントMと曲率φの関係をプロットします。そこに弾性応答時と等価なエネルギーとなる応答値を重ねると,鉄筋の降伏まで達していません。つまり,この部材は降伏すら生じないことが分かります。他の部材についても同様に,終局状態までは十分な余裕があります。
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▲図4 中壁基部のM-φ曲線 |
紙面の都合上,せん断に対する照査結果は割愛しますが,十分な余裕を持っており,総合的に耐震性能3を満足している結果となりました。
●解析支援サービスのご案内
今回ご紹介したような解析は,Engineer's-Studio(R)はもちろん,UC-win/FRAME(3D)においても可能です。Engineer's Studio(R)では平板要素を用いた非線形解析が可能ですので,壁を構造部材として解析することができます。解析支援サービスはデータ作成によりユーザを支援するものです。案件がございましたら弊社スタッフまでご連絡ください。解析手法などについてご説明させていただきます。
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■参考文献
水道施設耐震工法指針・解説2009年版 I 総論 2009.7 社団法人日本水道協会
水道施設耐震工法指針・解説2009年版 II 各論 2009.7 社団法人日本水道協会
水道施設耐震工法指針・解説2009年版 設計事例集 2009.9 社団法人日本水道協会 |
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(Up&Coming '10 新春号掲載) |
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