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新製品紹介

土留め工の設計 Ver.8 慣用設計法及び弾塑性法による土留め工解析・図面作成プログラム

  • 土留め工の設計 Ver.8のリリースにあたり、新機能を中心に紹介します。新バージョンでは、(1)鋼製支保工初期値選定機能、(2)「仮設構造物設計要領」 平成19年9月(首都高速道路公団)に対応、(3)控え杭タイロッド土留めの弾塑性対応、(4)周辺地盤の検討についての機能強化、(5)アンカー支保工照査の機能強化、(6)慣用法断面力計算機能の強化、(7)その他の要望対応などを行いました。
    また、「たて込み簡易土留めの設計計算」においても、Ver.2として、(1)旧たて込み簡易土留設計施工指針(H18年)に特殊施工例として記載している腹起しの計算に対応、(2)撤去時の検討で切梁を複数段同時撤去といった対応を行っています。


●鋼製支保工初期値選定機能

  • 本プログラムでは、初期入力において壁体や支保工などの使用鋼材を仮定値として入力が必要な仕様となっています。しかしながら、これから設計しようとする構造物に対して、判断材料がない状態でいきなり鋼材規模を仮定するのは困難であると考えられます。そこで、初期入力画面だけの条件から、鋼製支保工に関しては登録済みのすべての鋼材について応力度計算を行い、提示した合否の一覧表から適当と考えられる鋼材規模を選定できる「鋼製支保工初期値選定機能」を用意しました。これにより、入力の初期段階からある程度適切な鋼材規模を設定することが可能になり、設計計算の省力化がなされると考えられます。
    ただし、支保工の計算に用いる反力は慣用設計法から得られる反力であるという点にご注意ください。


●首都高速(平成19年)対応
  • 平成15年5月に改訂された『仮設構造物設計要領』(首都高速道路公団)は、平成19年9月に一部改定されています。本プログラムでは、改定内容のうち弾塑性法用側圧計算において、洪積砂層等のよく締まった砂質土における静止側圧の算定時に残留応力の影響を考慮できるように対応しました。


●控え杭タイロッド式土留めの弾塑性法対応
  • 控え杭タイロッド式土留めについては、掘削深さが比較的浅い場合に採用される構造形式であることから、慣用法による検討のみを可能としていましたが、本バージョンでは弾塑性法でも検討できるように機能を強化しています。この背景には、掘削深さの大小にかかわらず、土留め壁の変形を高精度に把握しておく必要があったり、変形に伴う周辺地盤への影響検討を必要とする設計箇所が増えていることが挙げられると考えられます。
    ステージ解析となる弾塑性法への対応に伴って、これまでは慣用法の検討ケースが完成時の1ケースのみとなっていましたが、自立状態についても必要に応じて計算できるようになりました。


●周辺地盤の検討についての機能強化
  • 本製品では、Ver.4(2006年8月リリース)において、有限要素法(FEM)による周辺地盤の影響検討機能を実装しました。解析方法は、地盤のみをモデル化し、別途弾塑性法から得られた壁体変位を強制変位として与え、地盤変形を計算するものです。開発当時は、沈下量、すなわち鉛直方向の変位に関してのみに着目しチェックを行っていましたが、水平方向の変位も問題視される場合もあるとのご指摘を受け、水平方向地表面変位量も同時にチェックするように改善しました。
    また、土留め壁の引抜きに伴う沈下量予測計算を、仮設指針P.62に準じて検討できるように機能追加を行いました。検討可能な土留め壁の種類は、鋼矢板、軽量鋼矢板、鋼管矢板となっています。また、特に基準類には触れられていませんが、鋼矢板の引抜き跡空隙Vpが、そのまま100%地表面沈下量になるとは限らないと判断し、地表面沈下量に及ぼす割合を指定できるように配慮しました。

▲図1 鋼製支保工初期値選定機能の仕組み


▲表1 首都高速平成15年と19年の相違点

▲図2 引抜きによる沈下量算定機能

●アンカー支保工照査の機能強化
  • アンカー支圧板の板厚計算を「グラウンドアンカー施工のための手引書」の考え方で計算するように対応しました。また、アンカーブラケットの溶接部の計算機能を追加しました。溶接部のせん断応力度および曲げ応力度を計算し、それらを合成した合成応力度が許容応力度以下であることを照査します。
▲図3 アンカーブラケットの溶接部の検討


●慣用法断面力計算機能の強化
  • 仮設構造物工指針では、「土留め壁の曲げモーメントは、掘削完了時における最下段切ばり、または、最下段切ばり設置直前における一段上の切ばりと、それぞれの場合の仮想支持点間をスパンとする単純ばりとし、この両方の場合について断面決定用土圧を作用させて計算する」と記載されています。したがって、1段目切ばりより上方を片持ちばりとして断面力を求める方法は必須項目ではないと考えられますが、土木工事仮設ガイドブックではこの部分も照査の対象に含めていることや、切梁の配置によっては、この部分の断面力が大きくなる場合もあることを考慮し、適用基準に拠らず設計者の判断で検討できるように機能追加を行いました。


●最後に
  • これまでに紹介した機能以外に、(1)弾塑性法結果総括画面および結果一覧印刷に、鋼製支保工以外(アンカー、タイロッド)についても支保工バネ計算結果を出力するように改善、(2)構造力学機能へのデータセット方法の改善などを行っています。本製品ではサポートするべき機能が山積みであり、1つでも多く、極力早期に対応するように、継続的に努力していきたいと考えています。
▲図4 1段目切ばりを支点とした片持ちばり


土留め工の設計セミナー

 ●日時 : 2011年 3月 8日(火) 9:30 〜 16:30   ●参加費 : 15,000円( 1名様・税込 15,750円)
 ●本会場 : フォーラムエイト東京本社 GTタワーセミナールーム TV会議システムにて 東京・大阪・名古屋・福岡にて同時開催

■土留め工の設計 Ver.8 リリース:2010年9月27日
(Up&Coming '10 晩秋の号掲載)
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