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ブロックチェーン |
IT TERMS INFORMATION
2017-No.2 |
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ブロックチェーン(blockchain)」とは、金銭などの取引の履歴を、ネットワークを介した複数のシステムによって分散的に管理・共有し監視し合う、「分散台帳」を実現する原理を指します。この技術により、従来のように、銀行やカード会社、決済代行会社など、法律・規制、実績などによって正当性が担保された第三者機関を中央集権として通すことなく、インターネット上の取引(トランザクション)における信憑性のある合意(コンセンサス)が実現します。買い手側と売り手側が、オープンなネットワーク上で直接の取引を安全に行うことができるようになるのです。
ブロックチェーンは、政府や中央銀行といった機関による規制・管理を受けることなく、自由に取引が行えるインターネット上の通貨として開発された「ビットコイン(Bitcoin)」の信頼性を担保するための技術として、サトシ・ナカモトという人物の論文で言及されたことがきっかけとして誕生しています。この論文をベースとして、オープンソースのビットコインが開発され、2009年から実際に運用が開始されています。これ以降、改ざんなどの被害が発生することもなく継続しており、その有効性が広く認知されつつあります。
ブロックチェーンは、ネットワーク内で行われた取引の記録を、ブロックと呼ばれる記録の塊の中に格納します。それぞれのブロックには、取引の記録と、その1つ前に生成されたブロックの内容を示す「ハッシュ値」という情報が格納されています。これらのブロックが、生成された順に時系列で連結していくデータの構造が、ブロックチェーンという名前で呼ばれる由来となっています。
たとえば、過去に生成されたブロックに格納されている情報の改ざんが試みられた場合には、改ざんによって変更されたブロックのハッシュ値が以前とは違っていることから、後続するすべてのブロックのハッシュ値も変更しなければなりません。分散共有されている膨大な数のブロックをほぼ同時に改ざんしなければならず、結果として改ざんが困難になっているのです。
このように、改ざん耐性に優れたデータ構造を持っているのが、大きな特徴といえます。ここには、暗号技術と、通信ノード間で直接通信を行うP2Pネットワークの技術が活用されています。
なお、取引者の情報は暗号化されており、取引内容が公開されても取引者の具体的な情報には紐付けされていないため、匿名性が保たれる仕組みとなっています。
ビットコインは、電子署名を使って、コインを取引のかたまりとして表現するものです。ブロックチェーンによって数字が管理され、二重譲渡が防止されているため、通貨として使用することができているのです。また、帳簿が公開され、それぞれのウォレットにどれだけの金額が入っているのかが分かるようになっているので、基本的には改ざんや不正ができません。取引履歴が世界中に分散し、全員でシステムを監視し合っているため、ハッキングが防止できるのです。
ブロックチェーンを使えば、権力を持った一部の組織や機関に支配されることなく、世界中の人々と自由な取引が行えるようになり、革命的な技術といえます。また、ビットコインのようなパブリックな取引のみならず、銀行預金、為替、決済業務、不動産登記、証券取引、契約管理といった目的での、プライベートなシステムへの活用可能性にも注目が集まっています。たとえば、米株式市場のNASDAQは、2015年より、Nasdaq
Linq(ブロックチェーンによる未公開株式取引システム)を運用しています。現在、実用分野の拡大に向けたさらなる取り組みが進められています。
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