■超スマート社会とは
近年の技術進化により、AI、VR、IoT、ビッグデータなど知的な処理が自在にできる時代になってきました。また社会は、経済のコモディティ化の進展により、“モノ”の価値から“コト”の価値時代に変化し、“モノ”という財産の所有の価値から、“コト”という思い出や経験などの価値がより重要になってきました。このような中で、政府は科学技術基本計画の中で、我々の生活をますます豊かなものに変える未来社会像の構想として、超スマート社会(Society5.0)を掲げています。超スマート社会は、サイバー空間と現実空間が高度に融合したモノと情報を組み合わせ、新たなサービスが次々と生み出される社会です。
■超スマート社会における組込システム技術
通信技術が高速化、高信頼化、低価格化が進み、マイクロコンピュータの性能も格段に向上しています。そのため、連携協調により高度な性能を持ったサーバでの処理を、あたかも末端の組込機器が処理しているかのように機能することが可能です。
たとえば、従来の設備の操作や表示は平面でしたが、VR技術を設備に組込むことにより、空間全体をマンマシンインタフェースにすることができます。また、画像認識やAIにより生活活動そのものが操作入力になります。さらに、センシング技術とIoTにより様々な状況を自動で認識し、最適な行動をサポートしてくれます。これらを、商業・医療・介護・産業施設などに適用することにより、利用の世界を大きく革新することが可能になります。
超スマート社会において、情報技術を生活関連システムや産業システムにどのように組込、どの様に最大価値を発揮できるかが重要になってきました。これらを実現するのが組込システム技術です。
■スマート社会を実現する為に
政府の新産業構造ビジョンにおいて、成長戦略のカギを握る「第4次産業革命」が示されています。スマート社会を実現するためには、「“モノ”の産業革命」だけでなく、生活者の快適、安心、安全な生活を創造し、革新された生活を自在に創造し、「何をつくるか」を生み出す「“コト”の産業革命」が必要です。生活関連設備は、企画や設計初期段階で検討しなければならない大きな3つの要素があります。これら全てを含むシステムと生活の全体俯瞰を行うことにより、堅牢な構造に基づく、利用者に感動を与えるシステムを構築することが可能になり、「“コト”の産業革命」を実現できます。
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生活関連における革新企画に重要な要素は、下記3項目です。
安全・安心を保障する。
多少の誤動作・故障、環境の異常、誤運用でもシステムを停止せず、少なくとも最低限の生活を維持することが必要です。このため、様々な正常の逸脱の影響まで配慮する必要があります。
感性で思考する。
“モノ”から“コト”の時代に変化し、感性が重要となりました。このため、TPOを把握しないと感性で物事が考えられません。TPOを把握するためには、様々な生活におけるシチュエーションをイメージする必要があります。
複雑さを解す。
IoTによりさまざまなものがつながる時代になり、属性、目的、環境の違うものが、時間を越えてつながり複雑化します。ほとんどの問題は、つながりの不整合から発生します。このため、複雑さを作りこまない全体を見据えた配慮が必要です。
■11月出版予定 「超スマート社会のためのシステム開発」
超スマート社会を実現するために、生活関連設備の特徴と品質要件の特徴について述べます。そして、それらを実現する企画や開発を進めるためには、最初の全体構想が重要です。そのための、開発対象全体の捉え方、品質検証の方法、複雑化させないための進め方について述べます。
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超スマート社会のためのシステム開発
〜日本のものづくりを足元から見直しませんか〜
・・・第4次産業革命を実現する“コト”の生産技術革命・・・
(システムを扱う経営、企画、開発、品質保証、発注会社/受託会社のために)
■著者 : 三瀬 敏朗
■発行 : 2018年11月予定
■価格 : \2,800(税別)
■出版 : フォーラムエイトパブリッシング |
目次 |
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■1 システム開発は変わらなければならない
1.1 経済のパラダイムシフトとシステムへの要求の変化
1.2 品質はより感性へ
1.3 静的な品質から動的な品質へ
1.4 品質は企画段階における創造
1.5 情報処理技術が生活に自在に入り込む
1.6 “モノ”づくりから、“コト”作りの産業革命
■2 超スマート社会可能性の一例
2.1 建設分野
2.2 ショッピングモール
2.3 高齢者介護
■3 生活関連システムの特性
3.1 システムが大規模化、複雑化、多様化・生活との一体化
3.2 生活関連システムにおける重要な特性
3.3 非正常系
■4 生活・社会活動関連システムに特徴的な品質
4.1 安全性
4.2 信頼性(成熟性、可用性、障害許容性、回復性)
4.3 機能適合性 (完全性、正確性、適切性)
4.4 性能効率性
4.5 使用性
4.6 セキュリティ
4.7 保守性
■5 システム分析を爆発させないために
5.1 上流での分析の重要性
5.2 分析爆発させないための俯瞰
5.3 俯瞰を行うための対象の捉え方と階層化
5.4 俯瞰の検討量の爆発を起こさない剪定 |
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5.5 非正常系の分析を爆発させない
5.6 俯瞰の複雑さを回避する希少ケースの単純化
5.7 俯瞰を可能にするプロジェクトマネジメント
5.8 派生開発における俯瞰
手法編
■1 ESIMの目的と特長
1.1 目的と特長
■2 手法の概要
2.1 俯瞰のための分析対象の捉え方
2.2 品質の検証
2.3 非正常系に対する品質検証
2.4 新規企画要件を定義するための逸脱分析
■3 俯瞰確立プロセス
3.1 要件の抽出
3.2 機能、構成要素の抽出と振る舞いの検討
3.3 システム構造図の作成とシナリオの作成と検証
3.4 複合シナリオの検証
3.5 初期起動シナリオの検証
3.6 拡張性検証
3.7 全シナリオを重ねあわせた検証
■4 俯瞰検証プロセス
4.1 品質検証
4.2 逸脱分析
4.3 剪定
■5 革新企画プロセス
5.1 新企画創出時の開発時のプロセスとの相違
5.2 逸脱(革新)分析 |
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