こうしたことの原因は、図2図3に示すように海水温の上昇や豪雨発生の増大等地球温暖化に起因すると考えられています。 こうした豪雨によって、堤防決壊、浸水、急傾斜地崩壊、土石流、強風による樹木倒壊等の災害が頻発しており、多くのダムでも計画を超える流入洪水のため、その洪水調節目的を十分には果たせないことが多くなっています。 国交省では、水災害による被害を防止・軽減するため、「施設の能力には限界があり、施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」との考えのもと、「水防災意識社会の再構築」の推進に取組んでおり、こうした考え方のもとで平成27及び29年の2回、水防法が改定されました。
- (最大規模洪水等の設定) 従来の浸水想定区域は、その河川の治水計画の基本となる規模(1/50〜1/200*2の降雨による洪水)の浸水区域を想定していましたが、計画規模を上回る洪水実績が多くなったことから、想定し得る最大規模の降雨を対象とする洪水・内水・高潮による浸水区域を想定することにしました。
- 想定し得る最大規模の降雨は、降雨特性が似ている15地域に分割し、それぞの地域での最大降雨量で設定することを基本とし、年超過確率1/1,000程度を 目安としました。
- (逃げ遅れゼロの実現) 要配慮者利用施設(社会福祉施設、学校、医療施設等)の利用者避難確保計画の策定及び避難訓練を義務化しました。
- (既存資源の最大活用) 輪中堤や既設ダムの再開発等について国等の代行制度を創設しました。
*2
治水計画の規模 1/50〜1/200は年超過確率で、過去の1洪水あたり総雨量の各年最大降雨を統計処理した値です。1洪水の総雨量継続時間は洪水毎に異なりますが、多くの場合、国管理河川では2日又は3日雨量、県管理河川では日雨量等が使われます。
1/50は50年に1回、 1/200は200年に1回といった、 稀に発生する規模の降雨です。 河道やダム等の施設計画・設計には流量(1秒あたりの洪水量:
m3/s)が必要ですが、 過去の種々の実績降雨型を計画降雨にまで引伸ばして、流出解析(降雨から流量に変換することを流出解析と言います。)し流量に換算します。 |
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図2 海水温度の変化 |
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図3 時間雨量50mmの発生頻度 |
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