2015年9月に「杭基礎の設計」「基礎の設計計算」の2製品を統合し、「基礎の設計」という新製品を開発・リリース致しました。従来の「杭基礎の設計」は「基礎の設計Lite版」、従来の「基礎の設計計算」は「基礎の設計Standard版」に相当します。「基礎の設計」改訂では、同時期に改訂された杭基礎設計便覧（以下、便覧と略す）（平成27年度）の対応を行いました。杭を設計する上で、杭頭結合部は重要な箇所で、レベル2地震時においても、結合部が応力的に弱点とならないように杭体と同等以上にしておく必要がある事から、仮想鉄筋コンクリート断面の照査を行う必要があるとされています。
今回はその改訂内容にあった仮想鉄筋コンクリート断面照査（常時，暴風時およびL1地震時）の取扱い変更（使用モーメント）を取り挙げて説明いたします。

■図1　仮想鉄筋コンクリート断面

Ｈ19年便覧ではP.302「杭頭部の発生断面力にて算出された応力度が許容応力度以下であることを照査する」、P.303「なお、液状化が生じない地盤のように・・・中略・・・杭頭部の設計に用いる曲げモーメントにて算出した応力度が許容応力度以下であることを照査する」などの記述を元とに、表１の緑枠の通りとしていました。
Ｈ27年便覧では、上記の記述がなくなったため、基礎の設計の初版（Ver.1.0.0)は、一部の「杭頭部の発生断面力」等の内容を参考に、レベル2地震時照査をしない場合は当初「杭頭モーメント」を用いる仕様としていました。その後、(公社)日本道路協会様へ本内容について問合せたところ、Ｈ27年便覧もＨ19年便覧と同じである回答を得ました。このため、基礎の設計（Ver.1.0.2)において、選択肢「杭頭／杭頭と地中部の最大曲げモーメント」（デフォルトは後者）を設けました。（赤枠）。

■表1　年度別の使用モーメントの取扱い	■図2　便覧(H27)、L2地震時照査をする場合の例