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土留め工の設計のなぜ? 解決フォーラム
自立時の許容変位量が、頭出した場合に
大きめに設定されているがなぜか?
 
 頭出しした場合の許容変位量の扱い

自立鋼矢板の計算における許容変位量に関する問合せです。
自立鋼矢板の計算では、照査位置(h)として、鋼矢板の天端位置としています。ここでは、鋼矢板の天端を0.50m程頭出ししています。
計算結果を見ると、hとしての計算位置が鋼矢板の頭出し(0.50m)をした位置(深さ)で計算しています。そのため自立式における許容変位量は自立さの3%としていますので、頭出しを考慮すると許容変位量が大きくなることに対して問題ありませんか? というご指摘です。
確かに、計算結果を見ますと、背面側地表面から0.5m頭出しがある場合(図-1参照)と無い場合では、許容変位量が異なります。図-1の場合、掘削深さは、3.0mですが、矢板天端位置の変位を対象としてh=3.50mと扱うことになり、許容変位量は次のように計算されます。

  δa1=3.50×0.03=0.105m
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図1 頭出しがある自立矢板モデル

一方、頭出しがない場合は、矢板天端位置の変位を対象としてh=3.00mと扱うことになります。

  δa2=3.00×0.03=0.090m

つまり、δa1>δa2となり、頭出しがある場合の方が許容変位量が大きくなります。そのため、掘削深さ、地盤条件によっては、頭出しした場合の変位照査はokであるにもかかわらず、頭出しがない場合には、変位照査がNGになる場合もあり得ます。
ここで、問題となるのは、許容変位量を計算する際の掘削深さhの取り方です。矢板天端から掘削底面までの高さとするか、背面側地表面から掘削底面までの高さにするということになります。ここでは、どちらにすべきかについては、設計者の判断に委ねるとして、本製品では、次の手順で変更できることをご理解ください。
上記の設定は、図2に示す通り、[基準値-設計用設定値-安全率]で指定することができます。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図2 突出している場合の掘削深さの取り方の指定

「突出している場合の掘削深さの取り方」として、初期値は、「壁体天端から掘削底面」になっておりますので、こちらを「地表面天端から掘削深さ」に変更してください。これによって、頭出しの有無にかかわらず、許容変位量を同値で扱うことができます。
 止水土留めの許容変位量の扱い

本製品で、初期値を「壁体天端から掘削底面」にしている理由は、突出している土留め工の多くが、図3に示すような止水土留めであるからです。この場合、初期値を「地表面天端から掘削深さ」にすると、とても小ささ掘削深さとなるため許容変位量が異常に小さな値となるのを回避するためと、ここでは矢板天端の変位を対象とすべきと判断したからです。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
■図3 自立式止水土留め工モデル


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