直接基礎時は比較的強固な地盤において採用されるため、一般に擁壁が変位することは考えずにモデル化します。左右の壁に作用する水平力が極端に異なる場合は小さい方に移動する可能性があり、このような時は小さい方には相当の反力が生じると考えます。但し、これによって生じる反力は受働土圧の範囲内であり、超えることはありません。本プログラムでは、この反力を水平反力と呼んでいます。この考え方を実現するために、プログラムでは以下の計算を行っています(図1)。
- 両側とも主働土圧を適用して安定計算を行う。
- 「1」により滑動安全率を確保できた場合は、両側とも主働土圧とする。
- 「2」により滑動安全率を確保できなかった場合は、水平反力を算出する。
- 水平反力≦受働土圧であれば受働側に水平反力を適用して再計算。
- 水平反力>受働土圧であれば計算中止。
水平反力は「滑動させないための反力」となりますので、水平反力適用ケース(上記「4」の場合)の滑動安全率は必要安全率(常時1.5、地震時1.2)と等しくなります(図2)。従いまして、水平反力>受働土圧とならない限り、滑動でNGとなることはありません。この一連の考え方は、土地改良基準の「水路工」を参考にしています。 尚、設定によっては、水平反力を考慮せずに計算することも可能ですが、この場合の滑動結果は必ずNG判定となります。
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▲図1 偏土圧計算のイメージ |
▲図2 水平反力適用後の滑動結果(赤枠) |
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