「BOXカルバートの設計・3D配筋」では、応答変位法による地震時の検討に対応しています。このときの地震荷重の入力に関してこれまでお寄せいただいたお問い合わせを例に紹介いたします。
「底版の周面せん断力を無視する(基盤面上に設置時)」のスイッチを設けた理由は?
|
図1 地震荷重画面(周面せん断力スイッチ) |
「考え方」−「地震荷重」画面の『底版の周面せん断力を無視する(基盤面上に設置時)』のスイッチは、「下水道施設の耐震対策指針と解説」「下水道施設耐震計算例−管路施設編−」の発行元である日本下水道協会のホームページ(http://www.jswa.jp/)に掲載されている「ホーム」→「お問い合わせ」→「下水道の経営・技術について」→「日本下水道協会が発行している指針類に関するQ&Aが知りたい。」→「技術に関するQ&A」→「下水道施設耐震計算例―管路施設編―質疑応答集」(2018年12月4日現在)の問7.5に以下の記述があり、これに対応できるようにしたものです。
なお、側壁の周面せん断力を頂底版の平均値として算出する場合に底版の周面せん断力を無視できるように『側壁の周面せん断力算出に底版の分を無視(基盤面上に設置時)』のスイッチを用意しています。
問7.5 基礎地盤が基盤層の場合について
BOXの基礎地盤が基盤層(岩盤)の場合では、Boxに作用する地震時土圧、地震時周面せん断力の低減はできないのですか?(実際の地盤では基礎地盤の種類(岩、軟弱地盤等)により、構造物の破壊状況も変化すると思いますが?)
A.
基盤層の上にボックスが布設されている場合は、地震時土圧は考慮する必要がありますが、底版の周面せん断力は応答変位が0となるので、無視できます。ボックスの途中に基盤層がある場合はケースバイケースで責任技術者の判断で適切なモデル化を行ってください。その場合、基盤層部分の周面せん断力は無視して考えることが出来ます。
「地盤のせん断強度を算出する」スイッチとは?
|
図2 地盤画面 |
「形状」−「地盤」画面の『地盤のせん断強度を算出する』にチェックがついている場合、地盤のせん断強度τmaxを算出し、これを周面せん断力の上限値とします。
- τmax=C + σn・tanφ
- σn:有効上載圧(kN/m2)
- C:地盤の粘着力(kN/m2)
- φ:地盤の内部摩擦角(度)
周面せん断力τが地盤のせん断強度を上回る(τ>τmax)場合にτ=τmaxとしています。なお、有効上載土圧σnは地表面から周面せん断力算出位置深さまでの土重を累計しています。
- σn=Σ(γi・hi)
- γi:i番目の層の土の単位重量(kN/m3)
- hi:i番目の層の層厚(m)
また、水位以深では土の水中重量γ’を用います。
- γ’=γsat−γw
- γsat:飽和重量(kN/m3)
- γw:水の単位重量(kN/m3)
別途算出した水平変位振幅を入力して計算を行うことは可能か。
|
図3 地震荷重画面(水平変位振幅スイッチ)と水平変位振幅画面 |
別途算出した各深度の変位を直接入力することが可能です。
「荷重」−「地震荷重」画面の「地盤変位荷重」に『水平変位振幅』の選択(応答速度から算出/直接入力)を設けています。「直接入力」を選択し「地震荷重」画面を確定すると「荷重」に「水平変位振幅」が表示されますのでこちらで入力してください。「水平変位振幅」画面では、各深度(m)の水平変位振幅(m)を入力してください。深度は0.001(m)単位で最大99点まで設定可能です。
|