今回は、栃木県宇都宮市の国立大学法人宇都宮大学 工学部建設学科の地域計画学研究室をご紹介いたします。
宇都宮大学は、国際、教育、工、農の4学部を有する中規模総合大学です。
宇都宮駅の東に位置する陽東キャンパス(写真1)には、工学部建設学科棟があり、交通工学分野の研究でUC−win/Road を活用されている建設学科地域計画学研究室(写真2)をお訪ねし、お話をお聞きしました。
同研究室では、古池弘隆教授(写真3)の下、交通計画や交通工学の研究を通じて、都市の中の様々な問題に対して探究されています。
地域情報化・交通計画をテーマとした古池教授、土地利用と交通の融合をテーマとした森本章倫助教授から、研究の具体的な内容を教えていただきました。
古池教授は、早くから大学の情報化に取り組まれ、当時、情報処理センター長として国内では最も早い段階で、学内に分散処理ネットワークを構築されました。米国留学後、1985年に現在の地域計画学研究室をスタートされました。米国やカナダでの研究活動を通じて様々な交通シミュレーションなどのアプリケーションも利用されてきています。
森本助教授からは、これらのシミュレーションソフトの特長や実際の活用事例を丁寧にご説明いただきました。特に市内の交差点の交通シミュレーションでは、平松交差点や今泉交差点の検討を行われています。宇都宮市全域の道路ネットワークを完成されており、全域のマクロ交通シミュレーションから、個別のミクロな検討まで対応できる研究活動を続けられています。
これらの研究活動を通じて、古池教授は、LRT(Light Rail Transit)の導入が車社会脱却の有力な選択肢であることを示されています。
「LRT二都物語」として朝日新聞(2004年2月28日とちぎEYE)に掲載された記事では、住民1人あたりのガソリン消費量が最も多い米国「ヒューストン」で今年の元日に12kmの高性能LRTが開通したことを紹介されています。実は宇都宮市も日本で一番のガソリン消費都市だそうで、市内の車を全ての道路に並べると車間は10mを切っているそうです。
古池教授は、県の都市計画審議会長を務められるなど、行政への提言活動を続けられており、「新交通システム導入基本計画」でも県と市の策定調査委員長を任せられ、昨年5月に報告書を出されています。 |
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同研究室では、このLRTが宇都宮市内に開通したイメージをUC−win/Road により、3次元バーチャル・リアリティとして作成されています。(最右下段画像2点)
現況については、取材等により忠実に作成されており、LRTの走行や自動車の走行も設定されており、街路樹には、UC−win/Roadの3D樹木が利用されています。大変精度の高いデータで、3月23日に行われた地域計画学研究室外部発表会でも「LRTに関する研究」のプレゼンテーションで利用されています。
また、長田哲平氏(同研究室博士後期課程在籍)は、近日開催される国際会議ICCCBE2004(6/2-4、http://www.uni-weimar.de/icccbe/)やWalk21(6/9-11、http://www.citiesforpeople.dk/)に参加され、研究論文の発表やUC−win/Road の利用に関わる話もしていただけるとのことです。
UC−win/Road Ver.2.0 は、Traffic Flow、Traffic Pathがサポートされ、本年5月にリリースします。これらの機能により、時間交通量や車種等の設定が可能な3次元交通流シミュレーションが実現します。勿論車同士の衝突制御が可能で、渋滞状態の表現がリアルに行えます。
森本助教授からは、交通シミュレーションの研究において、注目している機能であり、同助教授の研究テーマの一つとして交通シミュレーションにVRを取り上げる予定であるとの話も挙がりました。
お忙しい中、快く取材に応じていただいた古池弘隆教授、森本章倫助教授他研究室の皆様に深く感謝いたします。
今後の研究のご発展をお祈り申し上げます。 |
▲宇都宮大学教授、古池弘隆 氏(写真3) |
宇都宮大学助教授、森本章倫 氏(写真4) |
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▲宇都宮市内を走る路面電車(LRT)のバーチャル・リアリティ画像
(UC-win/Roadデータ作成:地域計画学研究室) |
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