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   ホーム > セミナーフェア > セミナーレポート > フォーラムエイト デザインフェスティバル 2019-3Days+Eve > 11月14日(木) Day2
VRとCG、各種ソリューションとの連携、高度化する表現技術

デザインフェスティバルのDay2(2019年11月14日)オープニングは、当社代表取締役社長の伊藤裕二による開会あいさつの後、当社担当者が「Shade3Dの最新機能と今後の展望」と題してプレゼンテーション。初めに、「Shade3D」の特徴をモデリングやレンダリング、アニメーション、3Dプリントの各機能を搭載する統合型3Dコンテンツ制作ソフトで、フォトリアルな表現力を有し、NURBSや多言語、3DVRに対応、大きなモノから小さなモノまで細部を正確に表現できる、と位置づけ。最新版(Ver.20)の新機能として1)PBRの強化とそれによるワークフローの改善、2)BIM、CIM対応の第一弾となる3Dアノテーションの対応、3)教育向けプログラミング言語「ブロックUIプログラミングツール」の対応に触れた後、リニアワークフローやPBRマテリアル対応、ホリゾンタルクロス対応、3Dアノテーション、ブロックUIプログラミングツールについてデモを交えて解説。その上で、CGに関する最近の技術動向としてGPUによるリアルタイムレイトレーシング、AIの活用、VRモデリングを列挙。そこでのShade3Dの課題としてフォーラムエイトソリューション(UC-win/Road、VR-NEXTR、3D配筋CAD、FEMLEEG)との連携に言及。今後の具体的な開発予定として1)Shade3D Ver.20.1(2020年2月リリース予定)、2)ブロックUIプログラミングツール Ver.20.1、3)Shade3D Ver.21(2020年7月リリース予定)について紹介しました。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
フォーラムエイト Shade3D開発Group 高取 研 Ver.20新機能 PBRマテリアル
VRの進化がもたらす新しい気づきの世界

Day2午後の部前半は、「第5回最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション」を実施しました。
まず、最先端表現技術利用推進協会の長谷川章会長があいさつ。会長就任から1年を迎える中で斯界の技術の飛躍的な進歩への実感を述懐。その一端として、バーチャルな技術が現実の世界に多く入ってきたことで、時には「これは現実なのか、バーチャルなのか」とすぐに判別できないほどと語ります。また、お金や言葉、時間も引き合いに出しつつ、人間が生きていること自体もバーチャルなのでは。その意味で情報はすべて時間に管理され、しかも「過去の情報の集まりが情報」であり、「(私たちは)過去の社会に住んでいる(のと同義)」で「(それが)長く行われてきた」との観点を提示。コンピュータや5Gに象徴される通信の高速化により向かう先は、実はそれが「組織から独立した自分自身を知るための道具」になっていくのでは、との考え方を説きます。そうした思いを踏まえ、表現技術検定(まちづくり/建設ICT)やガイドブックの出版などこれまでの表技協としての取組を振り返ります。

表技協 長谷川章会長 デジタル掛軸(DKFORUM)
Biennial of The Americas Denver 2019

これを受け、ジャーナリストの服部桂氏が「VRが目指す次世代の情報環境とは?」と題して特別講演。1989年に最初のVRプロダクト(コミュニケーション装置)が公開された当時に遡る自身のVRとの関わり、当時と今日におけるVR利用環境の彼我の差について紹介。その上で、1990年頃の米日におけるVR(当時は「人工現実感」、その後訳語は様々に変遷)への見方と取組、それに遡るコンピュータの黎明期や冷戦時代を経て軍事的ニーズなどを反映したシミュレータやゲーム、宇宙開発、医療分野などにおける現在のVR利用に類似した(VRではない)表現技術の取組、その後の視覚のみならず触覚も含むVR利用技術の進展と適用分野の多様化、4K解像度や5Gといった先進ICTとリンクしたコンテンツの広がりへと話を展開。さらに、VRの中で高解像度の生態系が自律的に動く世界、VRに現実世界を付加したAR、様々な環境をVRにより完全なシミュレーション空間(現実世界とパラレル)にしてその中で自動運転などの試行と改善を繰り返すような使い方(ミラーワールド)などの例を列挙。このような情報の世界の中で個人の視点を取り戻す(自分自身を世界の中心に置き自分がどう動くかのメタファーとなる)のがVR、との見方を提示。加えて、コンピュータの進化したものがVRであり、AIを含め、これからは「役に立つ」ということが一層重要。したがって効率化や利益を得る目的のみならず、VRを通じ新しい人間としての気づきを得ることが出来れば、これまでとは大きく異なる世界が創出されてくるはずと説きます。

ジャーナリスト 服部 桂 氏

続いて、第3回となる羽倉賞発表と表彰式を実施。今年はハイレベルな作品が多数集まり、羽倉賞3作品/フォーラムエイト賞1作品/奨励賞3作品および、新たに創設されたノミネート賞3作品の、合計10作品が選出されました。

1作品目は、金沢工業大学・DK art cafeプロジェクト「金沢5G gate 2019 ”Mimassi”」。金沢市、民間企業、大学の連携により、5G技術を市民参加型のイベントに活用する初の試みが評価されました。

2作品目は、愛知工業大学 情報科学部 / ソニー / NTTドコモ「インタラクティブプロジェクションマッピング」。移動するカート側面の映像と池を表す床面投影映像が連動し、動きに反応して泳ぐ鯉が表現されたインタラクティブなシステムの技術が注目されました。

3作品目はWONDER VISION TECHNO LABORATORY株式会社「WV Sphere 5.2」。持ち運び可能な大型半球体スクリーンシステムが日本各地のイベントで活用され、複数人が同時に様々な空間体験を共有しました。

フォーラムエイト賞はONI「存在の音色 Sounds and colors of life」。立体音響、電子音楽生演奏、シャボン玉がプログラミングでコントロールされ、幻想的で優しい世界観を演出するインスタレーション作品です。

また、奨励賞は、理化学研究所/早稲田大学「Melody Slot Machine」、明治大学総合数理学部 福地研究室「3D能 葵上 - 船弁慶」、株式会社ソリッドレイ研究所「360°3Dシアター」がそれぞれ受賞。ノミネート賞は、宝塚大学東京メディア芸術学部 チームアステリズム「スペース -星の体験-」、NTTサービスエボリューション研究所/北海道大学HCI研究室「インタラクティブ360度テーブルトップ型 3D映像表示技術」、Juvenileプロジェクトピタゴラ班 立命館大学情報理工学部「MRピタゴラ装置」の受賞となりました。

羽倉賞講評の様子:服部 氏(左)、長谷川 氏(右) 受賞者の皆様

受賞作品詳細は、「表技協活動レポート」に掲載しています。

センサーモデルやAI技術と連携したUC-win/Roadの先進的活用プロジェクト

国際VRシンポジウムでは、世界各国・各分野からの大学研究者「W16」が集まって、毎夏場所を変えて実施されるサマーワークショップに参加し、11月のデザインフェスティバルでは、メンバーがそれぞれの研究成果を発表しています。

これまでアリゾナ州立大学の小林佳弘氏が代表となって活動を続けており、今回で12回目の開催をを迎えました。2019年のサマーワークショップは、昨年のニュージーランド・ウエリントンに続き、フランス・パリにて7月に開催されています。

同プロジェクトでは、UC-win/Roadの先進的な活用を模索するユニークな研究開発を推進しています。

今回の研究成果発表では、コスタス・テルジディス氏とマルコス・ノバク氏にアカデミー優秀奨励賞が、また、マーク・アウレル・シュナベル氏と楢原太郎氏にアカデミー奨励賞が送られました。

アリゾナ州立大学 小林 佳弘 氏(進行役)
■「ドライビングコンパニオン」
  同済大学 コスタス・テルジディス氏

AKAインテリジェンス社開発の会話生成API「MUSE」を利用し、運転者の表情や動作といったコンテクストによって発話する人工知能型コンパニオンを提案。UC-win/Roadとの連携により、運転中につかれたとき、退屈なとき、神経が苛立っているときなどに会話をすることで、運転者の気分を和らげるようなシステム開発を行います。

同済大学設計創意学院 コスタス・テルジディス 氏
■「LORの開発」
  カリフォルニア大学 マルコス・ノバク氏

運転席から見えるハードな現実と助手席から見えるソフトな現実という2つの現実の違いを、シェーダーを利用することによって同一VR空間上に可視化。視点情報から他者が見ている部分を抽出し、運転中に注目すべき部分、あるいは興味がわくような対象物などを、投影画像の一部分にフィルターや特殊シェーダーをかけることによって、どのように認識されるかを実験・調査することが可能となります。

カリフォルニア大学 マルコス・ノバク 氏

■「自動車センサーシミュレーション」
  ジョージア工科大学 マシュー・スワーツ氏

複数自動車間のセンサー通信をVR空間で実験できるシステムを提案。UC-win/Roadの多様なプラグインにより、各自動車から得られる走行データやレーザー画像検出測距(Lidar)の周辺データを、TCPとWebソケットを利用して他の自動車とリアルタイム通信できるような仕組みを開発しました。相互通信型の自動運転研究者が利用できるようなツールとしての提供が期待されます。

ジョージア工科大学 マシュー・スワーツ 氏
■「都市のリキャプチャリング」
  ニュージャージー工科大学 楢原太郎氏

敵対的生成モデルの1つであるConditional GenerativeAdversarial Network (cGAN)を用いて、色分け済みのセグメンテーション画像・動画から仮想都市画像を自動生成するプロジェクト。UC-win/Roadの都市モデルを学習データとして用いることで、10色程度にセグメントされただけの運転映像から、東京風、大阪風、ニューヨーク風、パリ風の運転映像を即座に生成できるようになる仕組みの実装について紹介しました。

ニュージャージー工科大学 楢原 太郎 氏
■「パントマイムドライビング」
  ヴィクトリア大学 マーク・アウレル・シュナベル氏

VRシステムを運用する際に、キーボードやコントローラーを使用することなく、簡単なジェスチャーのみでカメラ移動やシナリオ変更などの機能が連結できるツールを開発。ビクトリア大学で実際に使用しているCAVEシステムで、横を見ながらの移動など、様々な可視化パターンをUC-win/RoadとLeapモーションの組み合わせで実装しています。

ヴィクトリア大学 マーク・アウレル・シュナベル 氏
■「UC-win/Roadによる史跡をめぐる
  バーチャルツアー」
  ロバートゴードン大学 アマル・ベンナージ氏

歴史的建造物は時間の経過により風化してしまいますが、CGを利用して再現することにより、その情報を完全な状態で保存することができます。CGによって作成・保存された歴史・文化的史跡とUC-win/Roadを利用することにより、現実にはできない、VRならではのバーチャルリアリティツアーを実現します。

ロバートゴードン大学 アマル・ベンナージ氏(動画によるプレゼンテーション)
自動運転関連技術を中心とした高度なシステムが多数

UC-win/Road、VR-Cloud®の開発キットによるプログラミングを競うCPWCは今年で第7回。今回各国からは21件の応募があり、最終的には7作品が残ってこの最終審査と表彰式に参加しました。各ノミネートチームのプレゼンでは、「自動運転などの技術が目立つが、そこから発展させて都市情報などを取り入れているように感じた」「新鮮なアイディアと高度なシステムが数多く揃い、どれも力作だった」といった声が審査員から挙がっていました。

グランプリを受賞したM's Lab(椙山女学園大学)の「Emotional Voice Support」は、交通事故を減らすことを目的として、ドライバーの認知行動をサポートするプラグインを開発。運転者の視線追跡情報を活用して「周りを見ましょう」などの適切な音声アナウンスを生成し、また合成音声では怒り、喜び、悲しみなどの感情パターンが表現できるものです。「ドライバーの行動に反応して声が変わる点が面白い。2分間のプレゼンでも会場から大きな反響があった。交通事故にも的確に対応できるのではないかと思われた」(福田審査委員長)。

受賞者の皆様 審査員(左から)福田 知弘 氏、佐藤 誠 氏、
ペンクレアシュ・ヨアン 氏、楢原 太郎 氏
グランプリ表彰
学生によるプレゼンテーションの様子:M's Lab(左)、KaAI(中)、Brochet(右)

今年も国際色豊かでユニークな作品が集結

第9回VDWCのテーマは「未来都市のエンターテインメント OSAKA Dream Island」。実行委員長の池田靖史氏(慶應義塾大学大学院教授/IKDS代表)は最終審査のプレゼンにあたって、第1回開催の際にはまったく予想もできなかったほど、今では世界中から多数の作品が集まっていることに触れ、国際色だけでなく年々作品そのものも多様化しユニークになっていることを評価しました。

グランプリを獲得した「Flexispace:An Adaptive Mixed Reality Platform for Creators and Users.」(ウェリントン・ヴィクトリア大学)は、複合現実、マルチメディア、ボクセルベースのプラットホームとして、柔軟な空間設計と高度な複合現実エンターテイメントを実現。複数のVR設計シナリオが同時に実行可能となっています。「非常にユニークで、他の作品を超えるVRの活用が評価できる。アイデアも素晴らしく、審査員全員一致でのグランプリ選出」(池田審査委員長)。


審査員(左から)池田 靖史 氏、皆川 勝 氏、
コスタス・テルジディス 氏、C・デイビット・ツェン 氏
グランプリ表彰 学生によるプレゼンテーションの様子:CycberVASE

自由で楽しいVR表現が次々と誕生

冬休み、春休み、夏休みに小中学生向けワークショップとして開催されている「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」。参加者がこの1年間で作り上げたVRの作品を毎年ここで表彰しています。今年はMCとして新たに、バンコク出身で日英タイ語MC、モデル、ナレーターを務める多田カルティダ氏が登壇し、VDWC・CPWCに引き続きコメンテーターとして参加。ゴールドプライズ4作品、シルバープライズ7作品、ブロンズプライズ3作品の、合計14作品が表彰されました。

表彰式の様子    

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